小鳥1題
海岸から余り離れていない地方では、冬になれば小鳥の「メジロ」が多く見られる。相模原でも庭の椿や、梅、桜などの花にきて蜜を吸う姿が目にとまる。
今、信州茅野に滞在中だが(標高1,000メータ弱)、ここでは「メジロ」はあまり見かけない。九州にいた子供の頃には、冬、森によく獲りに行ったものである。「鳥もちの木」の皮を小刀で剥ぎ、石で搗く、繊維を水で洗い流すと鳥もちが残る。それを空のクリームビンなどへ入れて持ち歩く。安いナイフ(銘に肥後ノ守)だが、良く研ぎあげてある小刀を、子供達は常時ポケットにしのばせていた。籠に入れた囮のメジロを提げて森へ入る。手ごろな木の枝を切り取り、手を唾で濡らし(乾いていると鳥もちが手にくっ付いてしまう)鳥もちを巻きつける。囮の籠を椿の木に掛け、メジロがとまりそうな処にその枝を配置する。藪に隠れ胸をドキドキさせながら、鳥が来るのを待つ。メジロが寄って来る。そして枝にとまる。すばやく駆け寄り、下にぶら下がり始めたところをすかさず手に取る。鳥もちが羽などへ付く前に手に捕るのがコツなのだ。
今ではメジロを獲ったり飼ったりするのは禁止されている。当時はおおらかなものだった。そんな遊びが中心で、勿論勉強などはしている暇は無かった。
さて私は、メジロは夏には高山に帰り、そして卵を産み育て、冬に平地へ降りてくる鳥と認識していた。ところが茅野では見かけない鳥と思っていたメジロが庭へやって来ていた。カメラへ収めた時には、巣を探しに良く来ているシジュウガラと勘違いしていた。
皆さんにとっては、あまり珍しくもない小鳥と思えるのだが、高原で垣間見た、私にとって懐かしいメジロが、軒先の百日紅の枝にとまっている。その姿をご披露いたしたい。
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